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ドゥダメル 元気で楽しいマーラー交響曲第9番 [クラシック]

ラテンの明るさと新興国のバイタリティを感じさせるドゥダメルの、マーラー交響曲第9番を聴きました。オケはロサンゼルス・フィルです。
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第9番はマーラーの最高傑作にして大変な難曲ですが、それだけに名演も数多くあります。ワルター、クレンペラー、バルビローリ、バーンスタイン、カラヤンなどなど。ドゥダメルの演奏は、それらとかなり異なる部分があり、この曲の好きな人は聴くべきと思います。

一聴して感じたのは、第2・第3楽章がとてつもなく面白いことです。この曲は第1楽章と第4楽章はめちゃくちゃにすばらしい出来だと思いますが、2、3は聴き流してしまうことがほとんどです。これら中間のふたつの楽章は、前後の楽章と比べると旋律の魅力に乏しく、感情移入もしにくいパーツが多いためです。しかしこの演奏では、次々に出てくるソロの調べがいちいち面白く聴こえてきて、一向に飽きません。これは明らかに指揮者の意図によっています。
逆に言うと、ほかにも良い演奏の多い両端楽章の魅力は、それほど際立っているとは言いがたいとも思います。それでも、1楽章半ばの、ホルンとフルートのソロが絡むのを低弦が薄気味悪く支えるあたりは秀逸です。また、4楽章の、バイオリンとチェロが交互に旋律を奏でる部分、ほかの演奏ではお互いに邪魔しないように交代するところで音量をしぼるのが普通ですが、この演奏ではそれぞれがフォルテを維持して自己主張し、それがちゃんと良いバランスを確保して聴こえてくるあたりなどは、際立った解釈で楽しませてくれます。

ひとつひとつのパッセージがとても前向きな気持ちで演奏されている感じを強く受け、さすがに明るいとまでは言いませんが、元気で楽しい演奏になっています。この曲でそんなこと、おかしいだろう、というツッコミが、普通は正しいはずなのですが、おかしいどころか、すばらしい演奏だと思います。指揮者の個性なのか、オケのせいなのか。おそらくは前者の比重が大きいのかなと想像します。レコード芸術の選者のふたりの評論家は、いずれも準特選の評価で、ドゥダメルが若さにまかせて振った演奏で、良い点もあるが、まだまだ、みたいなコメントが見られました。まったく的外れで、指揮者の斬新なセンスやスピードに付いていけていない証しと感じます。

録音がまた独特です。オケのスケール感はすばらしいものがあり、絶品と言えるほどの美しさとは言えませんが、響きも豊かできれいな方です。際立っているのは、ソロがものすごくはっきりと聴こえることで、演奏効果を高めるのに大きく貢献しています。かなりオン気味に聴こえる場合もあるので、マルチマイクだとは思うのですが、自然な音場がしっかり維持されています。ライブ収録されたウォルト・ディズニー・コンサートホールは、サントリーホールを作った日本の会社が作ったワインヤード型で、優れた音響で知られるそうです。確かにすっきりした響きでコテコテとは程遠い響き具合はワインヤード型ならではという気がします。
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